仕訳しわけ

1つの出来事を、2つの科目で書き残す方法

ひとことでいうと

仕訳は、1つの取引を「借方」と「貸方」という2つの面に分けて記録する方法です。同じ出来事を2つの角度から書くことで、あとから見てもお金の流れがわかるようにします。

家計簿にも似た「両面」の考え方

お小遣い帳に「お菓子を買った」と書くとき、多くの人は使った金額だけを書きます。しかし会社の帳簿では、現金が減ったことと、お菓子(費用)が増えたことの両方を、同時に記録します。1つの出来事を2つの面から書くのが、仕訳の考え方です。

現金を借りる取引を、借方に現金、貸方に借入金として2つの面に分けて記録することを示す図。
図1 1つの取引を、借方と貸方という2つの面に分けて記録します。

2つの科目で、1つの出来事を書く

花屋が銀行から20万円を借りたとします。この取引には、現金が20万円増えたという面と、20万円を返す義務(負債)が増えたという面の、2つの意味があります。仕訳では、この2つの面を1行の記録として同時に書きます。

会社は、日々のすべての取引についてこの記録を積み重ねます。勘定科目という決まった名前を使って、何が、いくら動いたかを書き残すことで、あとから帳簿を見ても取引の内容をたどれるようにします。

左右の金額は必ず一致する

仕訳には、借方・貸方と呼ばれる左右2つの欄があります。1つの取引を借方と貸方に分けて書くとき、両方の金額の合計は必ず同じになります。これは、1つの取引によって資産負債純資産収益費用がどう変化しても、その変化を借方・貸方の両方に同じ金額で記録するという複式簿記のルールにもとづいています。

たとえば花屋が銀行からお金を借りると、現金という資産と、借入金という負債がどちらも増えます。現金の増加を借方に、借入金の増加を貸方に、同じ金額で記録するため、資産や負債の合計そのものは増えていても、借方と貸方の金額はいつも一致します。

花屋の開業・借入・仕入・売上という4つの取引を、それぞれ仕訳の形で示す図。
図2 花屋の取引を、順番に仕訳の形で書いてみます。

花屋の取引を、順番に仕訳にする

図2では、花屋が開業してからの4つの取引を仕訳の形で示しています。現金30万円で開業、銀行から20万円を借りる、現金で40万円分のお花を仕入れる、お花が25万円で売れる、という流れです。1つ1つの取引が、それぞれ独立した仕訳として記録されます。

仕訳を書き終えると、同じ勘定科目ごとに金額を集計して、貸借対照表損益計算書という決算書を作ります。仕訳は、日々の記録と決算書をつなぐ、最初の一歩にあたります。

間違えやすい点:仕訳は現金の動きだけを書くものではない

仕訳というと、現金の出入りだけを記録するものだと思われがちですが、そうではありません。たとえば商品を掛けで仕入れた場合、現金は動かず、買掛金という負債が増える仕訳を書きます。仕訳が対象にするのは、現金の動きだけでなく、資産・負債・純資産・収益・費用のすべての増減です。

また、1つの取引でも、借方・貸方それぞれに複数の科目が並ぶ場合があります。この記事では、借方・貸方が1つずつの単純な例だけを扱っています。

仕訳で確かめる

花屋が銀行から借り入れたとき(単位:万円)
借方金額貸方金額
現金20借入金20

ここまでのおさらい

仕訳は、1つの取引を借方と貸方という2つの面に分けて記録する方法です。借方と貸方の金額は必ず一致し、この記録の積み重ねが決算書につながります。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準・複式簿記の入門解説。花屋の開業時の取引を例に、仕訳の基本形を扱う。伝票の様式、電子帳簿保存法、税務は対象外。

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

花屋の数値・取引はすべて説明用の仮定です。伝票の様式、複数科目にまたがる仕訳、電子帳簿保存法上の要件、税務は未判定です。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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