貸倒引当金かしだおれひきあてきん

売掛金や貸付金のうち、将来回収できなくなりそうな金額をあらかじめ見積もっておく金額

ひとことでいうと

貸倒引当金は、売掛金や貸付金のうち、将来回収できなくなりそうな金額をあらかじめ見積もり、資産から控除する形で計上する引当金です。

全部戻ってこないかもしれない、と先に見積もっておく

友だちにお金を貸したとき、「もしかしたら一部は返ってこないかもしれない」と感じることがあります。貸倒引当金は、これを会社の売掛金や貸付金について、過去の実績にもとづいてあらかじめ金額で見積もっておく考え方です。

貸借対照表の売掛金60万円から貸倒引当金12,000円を控除して表示することを示す図。
図1 貸倒引当金は、売掛金などの資産から控除して表示します。

引当金の中でも代表的な、貸倒引当金

貸倒引当金は、売掛金や貸付金などの金銭債権のうち、将来回収できなくなりそうな金額をあらかじめ見積もり、貸倒引当金繰入という費用を計上するとともに、貸借対照表では対象の資産から控除する形で表示する引当金です。引当金の記事で扱った、将来の費用・損失を見積もって計上するという考え方の代表例にあたります。

金融商品に関する会計基準第27項では、貸倒見積高を算定するにあたり、債権を、経営状態に重大な問題がない債務者への「一般債権」、弁済に重大な問題が生じているか生じる可能性が高い債務者への「貸倒懸念債権」、経営破綻等の状態にある債務者への「破産更生債権等」に区分するとしています。

一般債権は、貸倒実績率法で見積もる

同基準第28項では、一般債権について、債権全体または同種・同類の債権ごとに、過去の貸倒実績率など合理的な基準により貸倒見積高を算定するとしています。これを貸倒実績率法と呼び、多くの会社で使われる基本的な方法です。貸倒懸念債権や破産更生債権等では、担保の処分見込額を考慮するなど、別の方法で見積もります。

貸倒引当金の当期末の決算整理前残高5千円に対し、当期末に必要な12,000円との差額7千円だけを追加計上する差額補充法を示す図。
図2 差額補充法では、不足分だけを追加します。

花屋の貸倒引当金を、差額補充法で計算してみる

図2は、花屋が取引先に持つ一般債権としての売掛金残高60万円について、過去の実績から貸倒実績率2%を見積もった例です。60万円に2%を掛けると、当期末に必要な貸倒引当金は12,000円になります。

ここで、当期末の決算整理をする前の時点で、貸倒引当金の残高が5,000円残っていたとします(期中に取り崩しがなければ、通常は前期末残高と同じ金額です)。この場合、当期末に必要な12,000円をそのまま計上するのではなく、必要額12,000円と決算整理前残高5,000円との差額7,000円だけを新たに繰り入れます。この考え方を差額補充法と呼びます。

差額補充法と洗替法の違い

差額補充法は、決算整理前の残高との差額だけを追加(または取り崩)する方法で、多くの一般債権で使われます。これに対し、いったん決算整理前の残高を全額取り崩し、当期末の必要額を全額新たに繰り入れる方法を洗替法と呼びます。どちらの方法も、最終的に貸借対照表に残る貸倒引当金の残高は同じ12,000円になります。

仕訳で確かめる

花屋が差額補充法で貸倒引当金を追加計上したとき(単位:円)
借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入7,000貸倒引当金7,000

ここまでのおさらい

貸倒引当金は、売掛金などの回収できなくなりそうな金額を見積もる引当金です。一般債権は貸倒実績率法で見積もり、多くの場合、前期末との差額だけを追加する差額補充法を使います。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準の入門解説。一般債権に対する貸倒実績率法と差額補充法の基本を扱う。貸倒懸念債権・破産更生債権等の詳しい算定方法、税務上の繰入限度額は対象外。

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

花屋の売掛金残高・貸倒実績率・前期末残高は説明用の仮定です。貸倒懸念債権・破産更生債権等の詳しい算定方法、税務上の繰入限度額は未判定です。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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