引当金ひきあてきん

将来起こりそうな費用・損失を、条件を満たしたら見積もって計上する金額

ひとことでいうと

引当金は、将来起こりそうな特定の費用や損失を、条件を満たした時点であらかじめ見積もって計上しておく金額です。

こわれる前から、直りそうな費用を帳簿に書いておく

自転車がいつか壊れて修理代がかかりそうだとわかっているとき、実際に壊れる前から「修理代がこれくらいかかりそうだ」という金額を帳簿に記録しておくとします。引当金は、これと似た考え方で、将来のマイナスをあらかじめ見積もって帳簿に記録しておくものです。現金そのものを別によけておくわけではありません。

現金を動かさず、将来の損失の見積額を帳簿に記録することを示す図。
図1 起こりそうな損を、今のうちに見積もっておきます。

起こってからではなく、見積もれる時点で記録する

花屋が取引先に売掛金を持っているとします。取引先の状況によっては、その一部が将来回収できなくなるかもしれません。実際に回収できなくなってから費用にするのではなく、その可能性が高く、金額を見積もれる時点であらかじめ費用として記録しておく、これが引当金の考え方です。

引当金には、貸倒引当金のほかに、賞与引当金、退職給付引当金など、いろいろな種類があります。共通しているのは、将来の特定の費用・損失を、発生する前の段階で見積もって計上する点です。貸倒引当金は売掛金などの資産から控除する形で貸借対照表に記載しますが、賞与引当金や退職給付引当金は、資産からの控除ではなく負債として記載します。

引当金を計上できる4つの条件

引当金を計上するには、将来の特定の費用・損失であること、その発生原因が今の期以前の出来事にあること、発生する可能性が高いこと、金額を合理的に見積もれること、という4つの条件をすべて満たす必要があります。発生する可能性が低いものについては、引当金を計上することはできません。

花屋の売掛金50万円のうち4%を貸倒引当金として計算し、仕訳を示す図。
図2 売掛金の一部について、貸倒引当金を計算します。

花屋の貸倒引当金を計算してみる

図2では、花屋が取引先に持つ売掛金50万円のうち、過去の実績から4%が回収できない見込みだと見積もった例を示しています。50万円に4%を掛けると、貸倒引当金は2万円になります。

この2万円は、貸倒引当金繰入という費用として損益計算書に計上されると同時に、貸借対照表の資産(売掛金)からマイナスする形で記録されます。まだ実際に貸し倒れが起きたわけではありませんが、その可能性を見積もった時点で費用として記録するのが特徴です。

間違えやすい点:引当金はあいまいな心配ごとの積立ではない

引当金は、なんとなく心配だからという理由だけでは計上できません。発生の可能性が高く、金額を合理的に見積もれることが条件です。発生する可能性が低い偶発的な事象については、引当金ではなく、注記による説明で対応します。

また、引当金は使う前の貯金のような現金そのものではありません。将来のマイナスを見積もって、費用と、貸倒引当金のように資産から控除する項目、または賞与引当金のように負債として記録する会計上の手続きであり、実際の現金を積み立てて別に保管しているわけではない点に注意します。

仕訳で確かめる

花屋が売掛金の一部について貸倒引当金を計上したとき(単位:万円)
借方金額貸方金額
貸倒引当金繰入2貸倒引当金2

ここまでのおさらい

引当金は、将来の特定の費用・損失を、4つの条件を満たした時点であらかじめ見積もって計上する金額です。実際の現金の積立とは異なる点に注意しましょう。

出典と確認状況

説明の範囲
日本基準の入門解説。花屋の売掛金に対する貸倒引当金を例に、引当金計上の4要件を扱う。税務上の繰入限度額、個別の引当金ごとの詳細な算定方法は対象外。

公開対象判定:独立レビュー通過・所有者による公開承認済み

花屋の数値は説明用の仮定です。税務上の繰入限度額、引当金の種類ごとの詳細な見積り方法、退職給付引当金などの複雑な引当金は未判定です。

一般的な学習のための説明です。個別の会計処理は、適用する基準と契約・取引の事情に合わせて判断してください。

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